強制執行（差し押さえ）までの流れ

強制執行とは、債務者に対して有している債権を強制的に回収する手続きをいいます。「強制執行」といっても、債務者の財産を無理やり奪い取るような「自力救済」は禁止されていますから、裁判所に強制執行を申し立てて、法律に従って手続きを進めていきます。

強制執行の申立てをするには、前提として、強制的に実現されるべき権利の存在を公証する文書として「債務名義」が必要です。「債務名義」の種類には、調停証書、公正証書、判決文、判決の前段階で発行される仮執行宣言付支払督促、裁判上の和解調書などがあります。さらに、債務名義には、債務名義の効力を公証する文言である「執行文」が原則として必要になります。

つまり、基本的には強制執行の申立てをする前の準備段階として「債務名義」と「執行文」を得ておく必要があります（例外として、債務名義が、少額訴訟で取得できる少額訴訟判決、少額仮執行宣言付判決と仮執行宣言付支払督促である場合には執行文は不要です）。債務名義は、各種裁判等で得ます。執行文は、債務名義の執行文付与の申立てという手続きを行って得ることになります。

債務名義と執行文を得たら、次は強制執行の手続きに移ります。まずは、裁判所に債権差押命令の申立てを行います。申立てが認められると、債務者に差押命令が送達されます。債権者は、差押命令が送達されてから1週間後には、債権者に自ら債権を取り立てることができます。

このように、強制執行をするには、準備段階（債務名義と執行文を得る段階）と、強制執行段階で、裁判手続を利用する必要があり、複雑でわかりにくいという現状があります。そのため債権回収でお困りの方は、まずは専門家と面談をすることをおすすめします。

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